ベステルは、チョウザメ類の中でもとくに有名な交雑種(ハイブリッド)です。一般に、巨大で成長の早いオオチョウザメ(ベルーガ)と、小型で成熟が早いコチョウザメ(ステルレット)を掛け合わせた系統として知られています。見た目はサメのように流線形ですが、分類はサメではなくチョウザメの仲間で、背中に並ぶ骨板(こつばん)と、下向きの口・4本のヒゲが“古代魚らしさ”を強く感じさせます。
基本データ
- 名称:ベステル(Bester)
- 分類:チョウザメ目 チョウザメ科(交雑種)
- 親(代表的な組み合わせ):オオチョウザメ(ベルーガ)×コチョウザメ(ステルレット)
- 暮らし:飼育・養殖環境では淡水〜汽水域で管理されることが多い
- 用途:食用(身)・キャビア生産などで扱われることが多い
見た目の特徴:鎧のような骨板と“吸い込み口”
ベステルは、背中から体側にかけて列状に並ぶ硬い骨板が目立ちます。口は下向きで、口先にある4本のヒゲで底の獲物を探し、見つけた餌を吸い込むように摂食します。泳ぎは速さで勝負するタイプというより、底近くを落ち着いて移動しながら餌場を探るイメージが近いです。
どうして作られた?:成長の速さと成熟の早さを両立させる狙い
チョウザメ類は一般に長寿で成熟に時間がかかるものが多く、養殖や資源管理の面では「成長が遅い」「繁殖まで長い」という課題になりがちです。ベステルは、親の特性を組み合わせて育てやすさ・生産性を高める狙いで作られ、養殖の現場で普及していきました。
“巨大化しやすい系統”と“成熟の早い系統”の長所を合わせる発想は、養殖魚の歴史の中でも分かりやすい成功例として語られることがあります。
食性と行動:底を探って食べる“淡水の底生食”
ベステルの食性は、チョウザメらしく底生寄りです。自然の川や湖では小動物を探して食べるタイプで、飼育下では配合飼料などで管理されます。水槽内では底近くを回遊し、角や壁沿いをゆっくり動き回ることが多く、観察していると「サメというより巨大ナマズに近い落ち着き」を感じる人もいます。
人との関わり:キャビア文化と“養殖の顔”
ベステルは食用として流通することがあり、とくにチョウザメ=キャビアの文脈で名前が出やすい存在です。天然のチョウザメ資源は環境変化や漁獲圧の影響を受けやすく、近年は養殖が重要になっています。その中で、ベステルは「養殖で安定供給しやすいチョウザメ系統」として扱われることが多いです。
関連する魚
- コチョウザメ(ステルレット):ベステルの親
- オオチョウザメ(ベルーガ):ベステルの親
- シロチョウザメ(ホワイトスタージョン):最大級チョウザメ



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