🦈世界最大の魚は、やさしいフィルターフィーダー

出典：National Geographic（YouTube サムネイル）

どんなサメ？

ジンベエザメは世界最大の魚。体長は12メートルを超えることもあり、バスほどの大きさの“おっとり巨人”です。名前の由来は、背中の白い斑点と格子模様が「甚平（じんべい）」の柄に似ているから。見た目は迫力満点ですが、人を襲うことはなく、性格はとても温厚です。

最大の特徴は“濾過摂食（フィルターフィーディング）”。口を大きく開け、海水ごとプランクトンや小魚を吸い込み、エラのフィルターでこし取って食べます。豪快に口を開けたままゆっくり泳いだり、縦になってバクバク吸い込む「バーティカルフィーディング」を見せることも。水族館の大水槽では、この採餌スタイルを間近で観察できます。

模様は個体識別にも使われます。ヒレの後ろから体側にかけての星座のような斑点パターンは、一匹ごとに“指紋”のように違うため、研究者は写真を集めて、移動ルートや生息域を追跡しています。近年はAIや市民科学の協力で、世界中の個体データが蓄積され、保全に役立っています。

サメトリビア（豆知識）

• 歯は小さいのに最大全長！ 口の中には細かい歯がびっしり並ぶけれど、咀嚼ではなく濾過がメイン。歯は“名残り”のような存在。
• 点々模様は夜空の星座みたい。模様の位置情報で個体識別する仕組みは、天文学の星認識アルゴリズムから着想を得たと言われます。
• 温厚だけどスイミングは意外と達者。遊泳速度はゆっくりでも、長距離を回遊するスーパー旅人。季節や海流、餌の大発生に合わせて世界の海を移動します。
• 口を縦にして“掃除機モード”。プランクトンが濃い場所では直立して吸い込み効率アップ。水族館でも稀に見られる行動です。

似ているサメ・関連種

• ウバザメ（Basking Shark）：同じく濾過摂食をする巨大サメ。外洋で大きく口を開けてプランクトンをこす。
• メガマウス（Megamouth Shark）：深場に生息する希少サメ。巨大な口と発光する口縁（と考えられる）で有名。
• マンタ（エイの仲間）：サメではないが同じくフィルターフィーダー。ジンベエザメと同じ海域で“群れ”に合流することも。

関連動画（YouTube・サムネ直リンク＋出典）

ジンベエザメのエサの食べ方 出典：【公式】海洋博公園・沖縄美ら海水族館 覗いてみよう！ジンベエザメの口内 出典：【公式】海洋博公園・沖縄美ら海水族館 Whale Shark | National Geographic 出典：National Geographic Whale Shark | Planet Earth 出典：BBC Earth

ジンベエザメは多くの水族館で“海の顔”として人気者。日本では沖縄美ら海水族館や海遊館（大阪）などで出会える可能性があります。ゆったり泳ぐ巨体は、怖さよりもむしろ優しさと神秘さを感じさせてくれるはず。
この記事が“最初の出会い”になったら、次は実物を見に行ってみましょう。巨大な影が目の前を通る瞬間のドキドキは、生涯の思い出になります。