「水族館でホホジロザメ(Carcharodon carcharias)は飼えるのか?」――結論から言うと、長期飼育はほぼ成立しません。ただし例外として、モントレーベイ水族館が2004〜2011年にかけて幼魚を一定期間展示し、その後すべて海へ放流したことで「短期・研究目的なら成立しうる」ラインを示しました。
なぜ難しいのか:ホホジロザメは“水槽向き”の呼吸構造ではない
ホホジロザメは、いわゆる**「泳いで水をエラに通す(ラム換気)」に強く依存するタイプとしてよく説明されます。つまり、止まっている時間が長い生活に向きにくい。百科事典ブリタニカでも、ホホジロザメやジンベエザメ、アオザメ類(マコ)などは口腔ポンプ(ほっぺで水を送る)を持たず、泳ぎで呼吸する**趣旨が述べられています。
水槽だと、
- 常に泳げる“十分な距離・曲率”が必要
- 壁に沿った不自然な旋回になりやすい
- 接触による擦れ・外傷が起きやすい
- ストレスで摂餌が崩れやすい
このあたりが連鎖して、「生かすこと」そのものが難度の高い課題になります。
実例:沖縄美ら海水族館では“3日”で死亡した
象徴的なニュースとして、沖縄美ら海水族館でホホジロザメが展示されたものの、3日で死亡した事例が報じられています。
このケースは「ホホジロザメを水族館で飼う難しさ」を一般に強く印象づけました。
例外:モントレーベイ水族館の“短期成功”は何が違ったのか
一方でモントレーベイ水族館は、幼いホホジロザメを一時的に展示し、最終的に放流するという形で成果を出しました(2004〜2011、計6個体が展示されたと整理されています)。
鍵として語られるのが、**海上の巨大ネットペン(約400万ガロン規模)での“慣らし”**や、搬送まで含めた徹底したロジ設計です。PBSの番組でも、その巨大ペンを作って準備したことが紹介されています。
ただし、このプロジェクトは高コストで負担も大きく、同館はいまは「展示は行わず研究へ」寄せている趣旨を明確にしています。
「じゃあ他のサメは?」水族館で飼いやすいサメ、飼いにくいサメ
ホホジロザメが難しい一方で、水族館でよく見られるのは、比較的“水槽適性”の高い種です。たとえば——
- ネムリブカ(岩陰で休む習性があり、リーフの展示で定番)
- トラフザメ(底生で落ち着いた動き、飼育展示が多い)
- ナースシャーク(底生でおとなしい展示が多い)
- シロワニ(サンドタイガー)(大型展示の常連として知られる)
逆に、ホホジロザメに近い“開放海域の高速巡航型”は難度が上がりがちです。たとえば**アオザメ(マコ)**もラム換気の代表例として挙げられます。
まとめ:飼えるかどうかは「水槽の大きさ」だけの問題ではない
ホホジロザメは、単に「大きいから無理」ではなく、
呼吸・遊泳・ストレス・摂餌・搬送まで含めた“総合難度”が高すぎる、というタイプです。
だから現実的な答えはこうなります。
- 長期飼育:ほぼ不可能
- 短期・研究目的:モントレーベイ型の特殊設計なら成立しうる(ただし超例外)
もし「サメ水族館」向けに記事化するなら、同じ構成で次は
「なぜジンベエザメは展示できて、ホホジロザメは難しいのか」(両方“泳いで呼吸”寄りの説明があるので、比較が映えます)もかなり強いコラムになります。



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