ホホジロザメの次に「飼育が難しいサメ」は?

ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)が水族館で長期飼育できない、という話は有名です。沖縄美ら海水族館での展示個体が3日で死亡した報道は、その難しさを象徴しました。
一方で、モントレーベイ水族館は幼魚を短期展示→全個体を放流という形式で「例外的に成立しうる線」を示しました。

では、ホホジロ以外に「ほぼ飼えない」「挑戦はしたが壁が厚い」サメはいるのか。結論から言うと、います。しかも“飼えない理由”は一種類ではなく、外洋性・高速巡航・繊細さ・輸送耐性など、敗因のパターンが分かれます。


最難関クラス:アオザメ(短鰭マコ)は「記録が5日」という残酷な現実

水槽との相性が最悪クラスと言われるのが、短鰭マコ、いわゆるアオザメ(Isurus oxyrinchus)です。
記録として整理されている範囲では、SeaWorld San Diegoでの試み(1970年代前半)、1978年に2個体が3日以内に死亡
、そして2001年のNew Jersey Aquarium個体が最長5日という、ほとんど“挑戦が積み上がらない”世界です。

マコは海では最強クラスの巡航者ですが、その強さが水槽では裏目に出ます。壁のない外洋で成立する速度と旋回が、ガラスの境界線の中では「壁回避の失敗」→擦れ・外傷→摂餌不良という短い転落に繋がりやすい、という典型です。


「飼えない」ではなく「極端に難しい」:ヨシキリザメは年単位の例があるが、少数派

次に名前が挙がるのが ヨシキリザメ(Prionace glauca/英名 Blue shark)です。
これは「絶対に飼えない」ではありません。実際、仙台うみの杜水族館では青い体色が特徴のヨシキリザメ飼育に挑戦し、873日生存した個体がいたことがまとめられています(幼体を搬入し、成長も記録された)。
また、飼育・輸送の専門章ではリスボンのOceanárioで161日
維持された例が明記され、「小型個体なら数か月」など具体的な見通しも書かれています。

ただし裏返せば、こうした例がニュースになるほど“レア”ということでもあります。ヨシキリザメは外洋性で、長距離を巡航する前提の体と神経でできているため、水槽での壁接触やストレスの連鎖が起きやすい、という評価は専門側でも共通しています。


“繊細すぎる人気者”:アカシュモクザメの挑戦は、輸送の段階で崩れることがある

「泳げる水槽さえあれば解決」と思いがちですが、そう単純ではない例が シュモクザメ類、とくに アカシュモクザメ(Sphyrna lewini)です。
2011年から約8年間、グレートバリアリーフで捕獲されフランスの水族館へ輸出されたシュモクザメ(報道ではハンマーヘッド)30個体が、最終的にすべて飼育下で死亡
したという報道は衝撃的でした。
同時に、研究者が「シュモクザメは飼育に向かない」と語った報道もあり、難しさが“現場の印象論”ではないことが示されています。

ここでの壁は、水槽サイズだけでなく、捕獲から搬送、環境変化、ストレス耐性まで含めた“総合難度”です。シュモクザメは見た目の人気が高いぶん挑戦が起きやすい反面、失敗が起きると倫理・保全の議論を一気に呼び込むタイプでもあります。


まとめ:ホホジロの「次」は、外洋の高速型と繊細型

ホホジロザメが“長期飼育ほぼ不可”なのは、たまたまではなく、外洋で成立する設計が水槽と噛み合いにくいからです。
その「水槽と噛み合わない代表格」として、

  • アオザメ(短鰭マコ):試みが極端に短命で、最長が5日というレベル
  • ヨシキリザメ:年単位の成功例はあるが、専門文献でも“高難度”側の扱い
  • アカシュモクザメ:輸送・飼育の総合難度が高く、大量死が報道された事例もある

が「ホホジロの他に飼育できない(しにくい)サメ」として、挑戦史まで含めて語れるラインです。

もしこのテーマをもう一段“サメ水族館向け”に尖らせるなら、次は
「なぜジンベエザメは展示できて、マコやホホジロは難しいのか」(餌の形・泳ぎ方・壁回避・ストレス反応の違い)で比較コラムにすると、読者が一気に腑に落ちます。

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