ラブカ

サメ図鑑

🦈深海に生き残った「生きた化石」

ラブカ水中映像(あわしまマリンパーク) 出典:あわしまマリンパーク 公式(YouTube サムネイル)

どんなサメ?

ラブカ(Chlamydoselachus anguineus)は、体つきがウナギのように細長く、身体の前半を大きく曲げて獲物に飛びかかる独特のスタイルを持つ深海性のサメです。学名どおり、エラに「フリル状」のヒダがあるのが最大の特徴。背側は焦げ茶〜黒褐色、腹側はやや明るく、深海の暗さに溶け込む保護色です。

体長は2m前後まで成長し、歯は“釣り針”のように反り返った小さな歯が約300本も並びます。獲物(イカ類や小型魚)を一気に飲み込む際、歯が内向きに並ぶことで逃げ場をなくす「逆流防止弁」のような役割を果たします。深海では餌チャンスが少ないため、効率的に呑み込める構造は大きな武器です。

生息域は世界中の大陸斜面の深海(おおむね水深200〜1200m)。日本近海では駿河湾や相模湾などの深い海で記録されており、生きた個体の撮影は非常にまれ。2007年に日本で撮影・収容された個体の映像は、今も“幻の映像”として語られます。

サメトリビア(豆知識)

  • 「生きた化石」って本当?——化石の記録や形態の原始性から、約8000万年前から大きく変わっていないとされます。ただし“全く変化していない”わけではなく、深海環境に最適化された結果、形が保たれていると考えると理解しやすいです。
  • 産仔数は少数で超長期妊娠?——深海サメは一般に成長が遅く、妊娠期間が2〜3年に達するとの推定研究も。環境変化や乱獲に弱いライフサイクルです。
  • 飲み込む戦略——ラブカは顎の可動域が広く、大きな獲物も“蛇のように”呑み込める可塑性があります。細長い体は、獲物を捕らえた後の体全体のうねり(推力)にも役立つと考えられます。
  • 近縁種もいる——アフリカ南部には似た種「アフリカラブカ」Chlamydoselachus africana)が知られ、形は酷似しますが体サイズや各部の比率が異なります。

似ているサメ・関連種

  • カグラザメ:同じく原始的形質を残す深海サメ。ゆっくりとした遊泳で大型化。
  • メガマウス:希少な巨大口サメ。採餌様式や外見は異なるが、深場に潜む希種という点で共通。
  • ニシオンデンザメ:極寒海域の“超スローライフ”な深海ザメ。長寿と低代謝が話題に。

関連動画(YouTube・サムネ直リンク+出典)

ラブカは“怖い深海魚”の象徴のように語られることもありますが、その実態は過酷な深海をしぶとく生き抜く効率特化型のサメ。奇抜な見た目の裏には、長い時間をかけて磨かれた適応の知恵が詰まっています。この記事をきっかけに、関連動画や他の深海サメの記事もぜひ巡ってみてください。

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