オオテンジクザメは、インド太平洋のサンゴ礁域を中心に暮らす大型の底生サメです。昼は岩棚の下や洞窟で休み、夜になると海底の割れ目を探って獲物を吸い込むように捕食します。沖縄では“タコクワヤー(タコ喰い屋)”と呼ばれることもあり、タコ類を好むイメージが強いサメです。
基本データ
- 和名:オオテンジクザメ
- 英名:Tawny nurse shark
- 学名:Nebrius ferrugineus
- 分類:テンジクザメ目(カーペットシャーク系統)・コモリザメ科、現生では本属1種のみ
- 大きさ:最大約3.2mの記載
- 分布・環境:インド太平洋の沿岸、礁域・砂地・海草藻場など、浅所から水深70m程度まで
- 保全:IUCNでVulnerable(VU)
見分けポイント:ナースシャークっぽいけど“ヒレの形”が違う
オオテンジクザメは、いわゆるナースシャーク(コモリザメ)と体つきが似ていますが、区別点として「背ビレの先が尖り気味」「胸ビレが鎌形で細い」といった形態が挙げられます。
口元にはヒゲ(バーベル)があり、底の獲物を探す“海底探索仕様”の顔つきです。
くらし:昼は洞窟で休み、夜に底を巡回する
日中は洞窟や岩棚の下で休み、夜に活動が増えるタイプとして知られます。休んでいるときに複数が同じ場所に集まることもあります。
水族館では給餌の時間帯の影響で日中に動く姿が見られる、という紹介もあります。
食べ方:噛み裂くより“吸い込み”が強い
オオテンジクザメは、獲物を見つけると吸い込む力で捕らえるスタイルが強調されます。
タコ類が重要な餌としてよく挙げられ、岩の割れ目や穴に潜む獲物を探っていく“地形利用型”の捕食者です。
繁殖:テンジクザメ目で唯一とされる“卵食(オオファジー)”
オオテンジクザメは胎生ですが、胎盤を作らないタイプで、子宮内で卵を食べて育つ「卵食(オオファジー)」を行う点が特に有名です。テンジクザメ目で唯一とされる、という記載もあります。
この方式は産仔数が多くなりにくい傾向が語られ、資源の回復が遅くなりやすい背景にもつながります。
人との関わり:おだやかに見えても、距離感は必須
一般にコモリザメ(大西洋のナースシャーク)よりおとなしいとされる一方で、顎の力が強く歯も鋭いという説明があります。
海底で休む個体を追い詰めたり、進路を塞いだり、触れようとしたりすると防御的になり得るため、観察は「近づきすぎない・逃げ道を残す」が基本です。
名前の注意:ナースシャークは1種類じゃない
「ナースシャーク」という呼び名は、一般にコモリザメ(Ginglymostoma cirratum)にも使われます。オオテンジクザメは別種なので、図鑑ブログでは**学名(Nebrius ferrugineus)か和名(オオテンジクザメ)**で管理すると混同を防げます。
関連するサメ(リンク用)
- コモリザメ(ナースシャーク):似た体型だが別種(大西洋中心)
- トラフザメ:同じテンジクザメ目の底生系、模様変化が名物
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