ヘラチョウザメは、北米の大河川でくらすチョウザメ目の仲間(硬骨魚)です。体長の3分の1近くにもなるへら状の吻(ロストラム)が最大の特徴で、動物プランクトンをろ過摂食して生きる、ちょっと珍しい大型魚として知られます。
基本情報
- 和名:ヘラチョウザメ
- 英名:American paddlefish / Mississippi paddlefish
- 学名:Polyodon spathula
- 分類:チョウザメ目/ヘラチョウザメ科/ヘラチョウザメ属(※現生はほぼこの1種)
- IUCN評価:Vulnerable(危急)
見た目の特徴
まず目に入るのが、顔の先端から長く伸びる**“へら(パドル)”みたいな吻です。体表は基本的に滑らかで鱗が目立たず、尾びれは上下非対称(異尾)っぽい形で、見た目だけだとサメを連想する人もいます。
ただし骨格は“ほぼ軟骨”に見える部分が多いものの、分類としては硬骨魚**で、サメ(軟骨魚)とは別系統です。
生息域・環境
本来の分布は、アメリカのミシシッピ川水系を中心とした大河川域です。流れの緩い本流の深場、支流のワンド(入り江)や三日月湖、ダム下流域など、大きな川とつながる水域で見られるとされます。
食性・行動(何をどう食べる?)
ヘラチョウザメは、主に動物プランクトンを食べるフィルターフィーダーです。大きな口を開けて泳ぎ、えらの構造(鰓耙)でプランクトンをこし取ります。
また、へら状の吻には多数の感覚受容体があり、プランクトンの群れを探すのに役立つとされています。
「サメ」じゃないの?名前のややこしさ
名前に「ザメ」と付くのは、尾びれの形などがサメっぽく見えることが理由のひとつです。ですが、ヘラチョウザメは**チョウザメ目(硬骨魚)**で、サメ(軟骨魚)とは近縁ではありません。
人との関わり(保全・資源)
生息域では、開発やダムなどによる生息環境の変化、漁獲圧などが個体群に影響するとされ、IUCNでは**危急(Vulnerable)**として評価されています。
水族館・飼育の見どころ
展示での見どころは、やっぱり**“へら状の吻”のインパクト**と、口を開けて泳ぐ独特の摂餌スタイルです。大型魚なので水槽規模が必要ですが、動き自体はゆったりで、古代魚っぽい雰囲気をじっくり楽しめるタイプです。
ちょい豆知識
ヘラチョウザメ科は、化石記録が古く、現生では“生きた化石”的に語られることもあります。また、近縁だった**ハシナガチョウザメ(中国のシロチョウザメ類)**が近年見つからなくなり絶滅と扱われる流れの中で、ヘラチョウザメの存在感がより際立っています。
図鑑リンク
- 🔍 他のサメを見る(図鑑:サメ一覧)
- 🔍 “ザメ”と付くけどサメじゃない(図鑑:紛らわしい名前の魚)
- 🔍 チョウザメ目の仲間(図鑑:チョウザメ目)



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