チヒロザメ(Pseudotriakis microdon)は、長く低い第1背びれと柔らかそうな体つきが目立つ深海ザメです。小さなトラザメに似た名前の英名False catsharkをもちますが、成長すると全長約3mになる別の科のサメです。
基本データ
| 和名/英名 | チヒロザメ/False catshark |
|---|---|
| 学名 | Pseudotriakis microdon |
| 分類 | メジロザメ目・チヒロザメ科 |
| 分布 | 大西洋・インド洋・太平洋。日本周辺にも分布 |
| 大きさ | FishBaseの最大記録は雌295cm、雄269cm TL |
| 生息環境 | 大陸斜面や島の深い斜面。記録水深173〜1,890m |
| 食性 | 硬骨魚類、ほかの軟骨魚類、無脊椎動物など |
| 繁殖 | 無胎盤性の胎生。胎仔は母親の作る卵も利用する |
背びれの形が見分ける手がかり
第1背びれは、三角形の大きな帆のような形ではなく、背中に沿って低く長く伸びます。暗い灰褐色の体、細い尾、大きな目と合わせると、沿岸を機敏に泳ぐメジロザメ類とは違う印象を受けます。
英名のcatsharkという部分だけを見て、トラザメ科の一種に含めるのは正確ではありません。学名の属はPseudotriakis、科はPseudotriakidaeです。和名が似た種類との比較では、学名と背びれの輪郭が役立ちます。
深海にすむ大きな捕食者
海底付近をゆっくり動くサメで、深い斜面から記録されています。FishBaseがまとめる水深の幅は広く、特定の採集水深がそのまま本種の唯一の生息水深を意味するわけではありません。
餌には魚類や頭足類などが含まれます。深海の大型ザメというだけで、すべてオンデンザメと同じ生活をすると考えることはできません。オンデンザメ類とは分類が異なり、尾や背びれの形にも違いがあります。
母体内で卵を食べて育つ
仔は母親の体内で育ち、卵黄に加えて卵を栄養にする卵食が知られています。FishBaseでは子宮からの分泌物の利用も紹介され、単に「卵が体内で孵るだけ」と説明するより、胎仔の栄養の取り方まで分けて読む必要があります。
1腹2〜4尾という記録があります。シロワニの胎仔による兄弟の捕食と、母親が作る卵の利用は別の仕組みです。出産時の大きさは資料によって幅があるため、ここでは単一の標準値として固定していません。
加圧水槽の飼育試験でわかったこと
沖縄美ら海水族館の令和6年度年報には、水深約1,300mで採集した個体を加圧水槽へ収容し、20日以上飼育した試験が記録されています。深海のサメを水面まで運び、その後の状態を保つ難しさに向き合う研究です。
この実績は、現在一般の展示水槽で会えるという案内ではありません。人との遭遇自体が少ない深海性の種類で、今回の資料では人への具体的な咬傷例は確認していませんが、大型魚を触ってよいという意味でもありません。
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参考資料
- FishBase:Pseudotriakis microdon — 分類・分布・全長・繁殖の種別記録
- 沖縄美ら海水族館:令和6年度年報 — 深海魚の加圧飼育試験とチヒロザメの記録
資料確認日:2026年10月4日。展示情報は記載した告知・資料の時点に基づきます。


