多くのサメは、水温によって体温が変わる外温性の魚です。一方、アオザメやネズミザメの仲間には、筋肉など体の一部を周囲の水より暖かく保つ仕組みがあります。すべてのサメを「冷血」や「恒温」の一言でまとめると、この違いが見えなくなります。
体の一部分に熱をとどめる
筋肉が働くと熱が生まれます。普通なら血液を通じて運ばれた熱の多くが周囲へ逃げますが、ネズミザメ科のサメは細かな血管の配置によって熱を回収します。流れる向きが反対の血液を近づけ、温かい側から冷たい側へ熱を移す仕組みです。
このように体の一部を暖かくする性質を、局所的内温性と呼びます。人のように全身をほぼ一定の体温に保つ仕組みと同じではありません。測る部位や水深、泳いでいる状況によって、海水との温度差も変わります。
冷たい水に入ってもすぐには冷えない
筋肉の温度を保つことは、冷たい水域での運動や捕食を考えるうえで重要です。ただし「温かい筋肉なら必ず最速になる」という単純な説明ではなく、体格や泳ぎ方、使える餌、必要なエネルギーも関係します。
ネズミザメとニシネズミザメはそれぞれ冷たい海を利用しますが、分布域は異なります。冷水で活動できるという共通点から、同じ種であるとか、世界中の寒い海に等しく分布するとは判断できません。
アオザメの潜水を調べた研究
2025年の研究は、アオザメに装着した記録計の潜水データと筋肉の温度をもとに、体が温まる過程と冷える過程を調べました。結果は、単に高い温度を保つだけでなく、環境に応じて熱の出入りを調節できることの重要性を示しています。
観察された個体の温度変化を、そのまますべての海域や全年齢の個体に当てはめることはできません。海面水温だけを見るより、実際に潜る深さと時間、体のどこを測ったかを合わせて読むと研究の意味がわかります。
水族館で見るときの手掛かり
泳ぐ姿から体温そのものは見えません。解説板で学名や科を確認し、暖かい海の魚なのか、冷たい水にも入る魚なのかを読むと、体の仕組みとすみかを結び付けられます。
また、体が暖かいことと、空気を呼吸することは別です。これらのサメもえらで水中の酸素を取り込みます。熱を保てるから水から出してよい、あるいは水温管理をしなくてよいという意味にはなりません。
関連する図鑑・コラム
参考資料
資料確認日:2026年10月10日。施設の記録は告知・資料の時点の情報です。


