エンジェルシャーク|砂に隠れるヨーロッパの平たいサメ

ここで紹介するエンジェルシャークは、Squatina squatinaという1種です。Angel sharkはカスザメ類全体にも使われる英名ですが、本種は日本のカスザメとは異なり、ヨーロッパや北西アフリカ周辺に分布します。

基本データ

名称/英名 エンジェルシャーク(英名のカナ表記)/Angelshark、Common angelshark
学名 Squatina squatina
分類 カスザメ目・カスザメ科
分布 北東大西洋・地中海など。歴史的な分布域から縮小
大きさ FishBaseの通常全長150cm、雌の最大記録244cm TL
環境 沿岸の砂底・泥底を中心に利用
食性 底近くの魚、エイ、甲殻類、軟体動物など
繁殖 胎盤を作らず、卵黄を利用して母体内で育った仔を産む

翼のような胸びれでもエイではない

大きな胸びれと平たい体は、砂底に身を隠す暮らしに向いた形です。眼と噴水孔は上側にあり、えら穴は頭の側面にあります。エイではえら穴がお腹側に並ぶため、体が平たいことだけでエイと判断しないようにします。

2枚の背びれは体の後ろに位置し、しりびれはありません。日本のカスザメS. japonicaやコロザメS. nebulosaも同属ですが、英名が似ているから同種というわけではなく、分布と学名の照合が必要です。

砂から待ち伏せする生活

日中は砂や泥に体を埋め、眼の部分を出して休む姿が知られています。夜には海底から離れて泳ぐこともあり、一日中まったく動かない生き物ではありません。底近くの魚などが近づくと捕らえる生活をしています。

カナリア諸島の調査では、仔から成体まで幅広い大きさが記録され、繁殖に関わる浅い沿岸域の重要性も示されました。ある季節の観察数が少ないことだけで、その場所から完全に消えたと判断することはできません。

大きな分布図でも、どこにでもいるわけではない

NOAAの2024年の再評価は、分布域の縮小と漁業による圧力を深刻な問題として整理しています。かつての分布範囲を塗った地図は、現在の生息密度を示す地図ではありません。

一度に複数の仔を産みますが、繁殖数や期間には地域差があります。少数の観察から全域の繁殖期を決めるよりも、仔が育つ湾や砂地を地域ごとに調べることが保全につながります。

野外観察と水族館

砂に埋まる個体へ触れたり、掘り出したりしないで観察します。普段の待ち伏せ行動が静かでも、口の近くへ手を出してよいという意味ではありません。

今回参照した資料では国内の現行の生体展示は確認できませんでした。国内水族館の「カスザメ」表示を本種の飼育記録として数えず、写真や標本を見る場合にも学名を確かめると、地域ごとのカスザメ類の違いがわかります。

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参考資料

資料確認日:2026年10月10日。施設の記録は告知・資料の時点の情報です。

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