サメには、多くの硬骨魚がもつ気体の浮き袋がありません。代わりに、低密度の油を蓄える肝臓や体のつくり、泳ぐときに生じる力が水中で体を支えます。ただし、すべてのサメが完全に浮いたまま止まれるわけではありません。
肝臓の油が体の密度を下げる
水中で体が沈みやすいかどうかは、体全体の密度と周囲の水との関係で決まります。サメの大きな肝臓には低密度の油が含まれ、浮力を得る助けになります。肝臓は、単に食べ物を処理するだけの器官ではないのです。
深い海に暮らすツノザメ類などでは、油の多い大きな肝臓が特に注目されます。オーストラリア博物館の解説も、この構造を、水中で体を保つための特徴として紹介しています。
軟骨だから、必ず水に浮くわけではない
サメの骨格は主に軟骨でできていますが、軟骨の体であることだけで中性浮力になるとは限りません。筋肉や皮膚などを含む体全体で考える必要があり、肝臓の大きさや油の量にも種による違いがあります。
中性浮力とは、静止していても大きく沈んだり浮き上がったりしにくい状態です。一方、海底で休む種類は底に接して体を支えられるので、中層で静止する種類と同じ条件を必要としません。
泳ぐときにはひれと体も働く
泳いで水を動かすと、体やひれに力が生じます。尾は推進に、胸びれや体の角度は姿勢や上下方向の力に関係します。浮力だけで水中のすべての動きを説明するのではなく、泳いだ結果の力も合わせて考えます。
水族館で見るときは、一定の深さを泳ぐ個体が胸びれをどのように保っているか、曲がるときに体をどう傾けるかに注目してみましょう。ひれは水中の飾りではなく、移動と姿勢調整の一部です。
「沈む」と「呼吸できない」は別の問題
浮き袋がないことを理由に「サメは止まると必ず死ぬ」と説明するのは不正確です。体を支える問題と、えらへ水を流して酸素を得る問題は、関係していても別の仕組みです。
海底で口や噴水孔を使って呼吸できるサメもいれば、泳ぐことでえらへ水を送り込むことに強く依存するサメもいます。底で休む姿と中層を泳ぎ続ける姿を見比べると、サメの生活が一種類ではないことがわかります。
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参考資料
資料確認日:2026年10月10日。施設の記録は告知・資料の時点の情報です。


