ウチワシュモクザメ|丸い頭と海草の消化で知られる小型ハンマー

ウチワシュモクザメ(Sphyrna tiburo)は、頭の前縁が丸いうちわのように広がる小型のシュモクザメです。カニなどを食べるだけでなく、海草の栄養を消化・吸収できることが実験で確かめられています。

基本データ

和名/英名 ウチワシュモクザメ/Bonnethead
学名 Sphyrna tiburo
分類 メジロザメ目・シュモクザメ科
分布 現在のFishBaseでは西部大西洋の米国ノースカロライナ州からベリーズ
大きさ 全長1m前後がよく知られ、最大記録は約150cm TL
環境 沿岸の浅い湾、砂泥底、海草の生える場所など
食性 カニなどの甲殻類、小魚、軟体動物。海草の栄養も利用
繁殖 卵黄嚢由来の胎盤をもつ胎生

大きなハンマーとは違う丸い頭

ヒラシュモクザメやアカシュモクザメほど頭が横長ではなく、前から上へ丸い輪郭が続きます。小さいから大型種の幼魚というわけではありません。頭の形は、その個体が属する種の特徴です。

口の前方には獲物を切り分ける歯が、奥には硬い餌を砕くための平たい歯があります。サメの歯がすべて大きな三角形ではないことをよく示す種類です。

「海草が胃にある」から一歩進んだ研究

胃の中に植物が見つかるだけなら、餌と一緒に飲み込んだ可能性もあります。2018年の研究では、炭素の安定同位体で標識した海草を与え、消化と体への取り込みを調べました。その結果、海草由来の有機物を利用できることが示されました。

これは草だけで暮らすサメという意味ではありません。動物質の餌も食べる雑食性として理解するのが適切で、すべてのシュモクザメに同じ消化能力があると広げることもできません。

古い分布図をそのまま使えない理由

以前のウチワシュモクザメには、よく似た別の種がまとめられていました。2024年にはカリブ海から南西大西洋の個体群を対象にSphyrna alleniが記載され、東部太平洋のS. vespertinaも区別されています。

そのため、古い図鑑の「アメリカ大陸の太平洋側から南米まで」という範囲を、現在のS. tiburoの分布と同一視しません。展示名がBonnetheadだけの場合も、資料の年代や学名まで確認すると取り違えを減らせます。

繁殖と水族館での研究

母体内で育った仔を産む胎生のサメです。また、飼育下で単為生殖が研究されたサメの一つとして、日本水産学会誌でも紹介されています。単為生殖は通常の交尾による繁殖と異なる現象で、すべての出産がこの方法になるわけではありません。

飼育・研究の実績はありますが、それだけで国内の施設に現在展示されているとはいえません。人への危険性は大型のシュモクザメと一括りにせず、小型種でも口もとに手を出さない距離で観察します。

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参考資料

資料確認日:2026年10月10日。施設の記録は告知・資料の時点の情報です。

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