サメが餌に近づくとき、黒く見えていた目が白く変わる映像があります。目を覆う「瞬膜」が動く場合と、眼球そのものを回す場合があり、すべてのサメが同じ方法で目を守るわけではありません。
白い膜が動くなら「瞬膜」の可能性
瞬膜は目の表面を保護する膜です。獲物のひれや棘、暴れる体などが目に触れる場面で、傷つく危険を減らす役割があります。メジロザメ類などで見られ、閉じると黒い瞳が隠れて白っぽく見えることがあります。
これは眼球全体の色が一瞬で変わったという意味ではありません。動画を見るときは、膜が目の前へ滑るのか、瞳の向きそのものが変わるのかを分けて観察すると、何が起きたか理解しやすくなります。
ホホジロザメは眼球を回して守る
ホホジロザメは同じような瞬膜を持たず、捕食時に眼球を後方へ回して保護します。白い部分が見えたとしても、瞬膜のあるサメと同じ動きとは限りません。Smithsonianの解説でも、膜で覆う方法と眼球を回す方法は区別されています。
白目に見える一瞬だけを切り取って「怒っている」「人を狙っている」と感情まで決めることはできません。種名、直前に口を開いたか、餌や物体が近くにあったかという前後の状況も必要です。
ジンベエザメの目には小さな鱗がある
2020年に発表された研究では、ジンベエザメの目の表面に歯に似た微細な鱗が見つかりました。体表の楯鱗とは形が異なり、目の表面を傷から守る働きが考えられています。目を眼窩へ引き込む動きも調べられました。
プランクトンを食べる穏やかなイメージのサメでも、突出した目は水中の物体に触れる可能性があります。この研究は、目を守る仕組みが大型の肉食ザメだけのものではないことを教えてくれます。
暗い水中での見え方も種によって違う
サメの目には、網膜を通った光を反射させる層があり、弱い光を利用する助けになります。ただし、目の大きさや視細胞の特徴、暮らす水深は種類で異なります。ハチワレの大きな目を、海底性の小型ザメすべてに当てはめることはできません。
水族館では、遠くから目の位置と大きさ、泳いだときの瞳の向きを観察してみましょう。目の反応を確かめるためにガラスをたたいたり、強い光を当てたりする必要はありません。種ごとの違いを比べるだけでも、目が飾りではないことがわかります。
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参考資料
- Florida Museum:Shark Biology — サメの器官と繁殖の基本
- Smithsonian Ocean:Sharks — 目の保護、感覚器、体の構造
- Tomitaら(2020):Armored eyes of the whale shark — ジンベエザメの眼球表面の楯鱗と眼球の引き込み
資料確認日:2026年10月4日。展示情報は記載した告知・資料の時点に基づきます。


