サメの中には、自ら光を出す種類がいます。2021年の研究では、ヨロイザメ(Dalatias licha)、フジクジラ(Etmopterus lucifer)、Etmopterus granulosusの発光が記録されました。ただし、深海にいるサメがすべて光るわけではありません。研究が扱った種と、写真に写る種を確かめることが出発点です。(出典:Mallefetほか(2021))
どんな種類が、どこで光る?
| 種 | 研究・解説で確認できること |
|---|---|
| ヨロイザメ Dalatias licha | 2021年の研究で発光を記録。腹側の発光器の分布などを調べた。 |
| フジクジラ Etmopterus lucifer | 同研究の対象。腹側や体側の発光パターンを調べた。 |
| Etmopterus granulosus | 同研究の対象。フジクジラとは別種。 |
| ダルマザメ Isistius brasiliensis | Florida Museumの解説でも腹側の発光器を紹介。2021年研究の新たな観察対象3種とは区別する。 |
光って、かえって見つかりにくくなる?
薄く光が差す海を下から見上げると、動物の腹側は影として見えます。背景の明るさに近い光を腹側から出せば、輪郭を目立ちにくくできると考えられます。これが「カウンターイルミネーション」という考え方です。発光は目立つためだけの仕組みとは限りません。
ただし、発光器の分布から考えられる役割と、自然の海でその行動を直接確認したことは同じではありません。2021年の論文も、捕食に関わる仮説を検証するには行動観察が必要としています。(出典:同論文の考察)
発光の役割は、一言では決まらない
体側の模様や光る位置は、仲間同士の識別などにも関わる可能性があります。種によって同じ役割と断定せず、実験や観察でどこまで分かったかを分けて読みましょう。「光は必ず獲物をおびき寄せるため」という説明では、研究の確かさの違いが失われてしまいます。
生物発光・蛍光・反射はどう違う?
| 現象 | 光の成り立ち | 写真で確認したい情報 |
|---|---|---|
| 生物発光 | 生物の化学反応によって光が生じる | どの種の発光を、どの条件で測定・撮影したのか。 |
| 蛍光 | 外から受けた光を、異なる波長の光として放つ | 励起用の照明や撮影フィルターが使われているか。 |
| 反射 | 照明などから届いた光が物体で反射する | 水槽照明やフラッシュの映り込みではないか。 |
アメリカ自然史博物館の研究紹介には、サメに青い光を当て、フィルターを通して蛍光の模様を撮影した例があります。この写真と、自ら発光するヨロイザメの写真は、明るく見えるという点が共通していても仕組みが違います。蛍光の研究紹介では、照明条件の異なる写真を比べられます。
写真で光って見えるものを見分ける
写真を比較するときは、説明文の「発光」「蛍光」という言葉と、照明の条件を確認します。色の鮮やかさより、どの条件でその色が現れたのかに注目すると、研究写真の意味を読み取りやすくなります。
明るい写真を見ただけでは、発光の強さや見える範囲は分かりません。研究写真は暗条件などをそろえて撮影していることもあるため、通常の水族館照明の下で同じ見え方を期待しないようにします。
種の基本情報はフジクジラの図鑑へ。名前の似たカラスザメはEtmopterus pusillusという別種であり、ここで紹介した3種の実験結果をそのまま同種の実験として扱うことはできません。
関連する図鑑・コラム
参考資料
資料確認日:2026年9月19日。


